2006年01月28日

プロフェッショナル

昨年、自分の力で仕事をしていくことを決め独立し、出張トリミングを中心に
活動しながらしながら、あらためて仕事について考えている。

組織の中で働いている時は、多忙で自分の与えられた仕事をこなすのが
毎日の日課であり、物事をじっくりと考える時間も余裕もなかった。

時間の余裕がある今は、自分と向き合い仕事についていろいろ考えている。

そんな中、最近とても夢中になって見ているテレビ番組がある。

毎週火曜日にNHKで放映されている番組

「プロフェッショナル 仕事の流儀」

さまざまな分野の第一線で活躍中のプロの仕事を徹底的に掘り下げる
ドキュメンタリー番組。

自分もトリマーという仕事のプロであり、この番組で取り上げられたプロの
現場での仕事や考えにとても共感を抱いて見ている。



第2回目に放送された小児心臓外科医の佐野医師
佐野医師のもとには、他の医師で手術が難しいと言われた子供たちが
全国から集まる。

この医師は今では有名な心臓外科医だけど、ここまで来るのには
すごい努力をしているのだ。

あの「白い巨塔」のように縦社会が強く、論文で偉くなる日本の医学は
遅れていると判断し、アメリカに渡った。
しかし、どの病院も門前払い…台湾で世界的に有名なニュージーランドの心臓外科医が
講演をすると聞き台湾に渡り、その心臓外科医のもとで勉強したいと直接
お願いをしたが、断られる。
しかし、毎日何度も交渉をし続け、その有名医師は根負けした。
そして、その医師のもとで修行をし、技術と知識を身につけたのだ。

向上心が強く医学に対する情熱はすごいと思った。
これは、トリマーにも言える。

自分の技術や知識を高めるためにも向上心と努力は必要だ。
誰かが教えてくれるのを待っていたり、仕事をさせてくれないと文句を言って
人のせいにしていても何も始まらないし、進歩もしない。

この私も、英語もほとんど話せず、知り合いもつてもない未知なる国イギリスへ渡った。
どうなるとかまったく考えずに、犬のことについて勉強したい気持ちしかなかった。
情熱とやる気があり、努力すればイギリス人も認めてくれるとわかった。

「簡単に一人前にはさせない」
佐野医師のもとには、若い医師が修行にきている。
若い医師には何年も渡り手術をさせない。徹底して下積みをさせる。
この仕事の重さを体に刻みさせ、技術や知識はもとより、心の準備が
できるまで手術をさせない。

まさしくその通りと唸ってしまった!
トリマーの世界もまったく同じだと思う。

専門学校を卒業してショップなどに就職したら、すぐお客様の犬を
トリミングできると、プロになれると思っている若いトリマーが多い。
とんでもない!学校を卒業してもライセンスの資格があっても、
見習い、修行の立場なのだ。
掃除や洗濯、犬の世話ばかりでなかなかトリミングさせてくれないと、
文句を言って辞めてしまう若いトリマーたち。

浅い経験と知識で命の責任がとれるのだろうか?
ケガをさせてしまったら?皮膚病を悪化させてしまったら?
トリミング嫌いにさせてしまったら?
事の重大さがわかっているのだろうか?

命を預かる責任あるこの仕事の重さをまだわからない若いトリマーたちに
お客様の大事なワンコをトリミングさせられるわけがない!

3ヶ月や半年など短いコースを設けてすぐ独立できるとうたい、
学生を募集している学校にも問題はある。

就職がないからとか、人間関係が面倒くさいからとか、勝手な理由をつけて、
卒業してすぐ安易に開業してしまうトリマーたちも多い。

このようなことが、日本のトリマーのレベルを低くしている要因かもしれない…



つい先日、放送されたのは、パティシエの杉野シェフだった。
この方のお菓子作りのこだわりにもすごく共感し、感動した。

杉野シェフもフランスに渡り、過酷な修行をしていた。
魅力的なお菓子を作るパティシエのもとで修行をしたいと、どんなに断られても
4年間毎日「修行させてほしいと」と手紙を送り続けた。
その結果、そのパティシエのもとで勉強できることになった。

「当たり前のことが一番難しい」
味を高めるための裏技などはない…おいしい菓子を作るためには
地道な作業を、手を抜かずにやるのが必要だと杉野シェフは言っている。


トリマーもまさしく同じだ!
トリミング技術に裏技などはないのです。
シャンプーの時にきめ細かい泡を立てながら洗うとか、すすぎは時間をかけて
完全にすすぐとか…
泡立てもすすぎも手を抜いて時間短縮しようと思えばいくらでもできる。
しかし、それでは被毛が痛んだり、もつれが発生しやすくなったりする。
犬に迷惑がかかり、不健康になってしまう。
人間はどうしても自分に甘くなり、楽をしたいと思う…しかし、それではいけない。
毎日のトリミングで手を抜かずに完璧を貫けるかどうかが一番難しいのです。


「あたり前を積み重ねると、特別になる」

先日、出張トリミングでマルチーズをトリミングしました。
私がトリミングするようになって今回で2回目。
以前は、ペットショップでトリミングをしてもらっていた。
前回のトリミングはどうだったか聞くと
「毛が伸びてきてもぜんぜんボサボサしてなく形が整っているから
トリミングのお願いも2ヶ月近くになちゃった」

DSCF1365.JPG

以前のショップでは、1ヶ月も経つと毛が伸びてきてボサボサになり
トリミングに連れて行かなければならなかったらしい。


トリミング仕立ては、絶対的にきれいに見えるけど、
1週間…2週間…1ヶ月と被毛が伸びてくると違いがわかる。
私が今目指しているのは、被毛が伸びてきてもカットしたままの形が
残りもつれも少なく、きれいに見えるトリミングである。
DSCF1367.JPG


私は、何も特別な技術を持っているわけではありません。
特別なシャンプー剤やトリミング道具を使っているわけでもないし…
技術的なことってどのトリマーさんもそんなに変わらないと思います。
はじめから”1ヵ月後もきれいなトリミング”を目指していたわけではなかった。
手を抜かずあたり前のことを毎日積み重ねていくと、このような特別な
結果が出てくるのではないかと思います。


どの分野でも、一流のプロの仕事って同じなんですね。
どのプロも仕事にかける情熱、向上心そしてあきらめず努力することが人一倍あった。
どうしても結果が早くほしくなって経験も知識もないのにやってしまうことがあるが
地道に手を抜かず努力をし続けていると、結果はついてくるのですね。



他に「情熱大陸」「夢の扉」もプロフェッショナルな人たちにスポットを当てた
ドキュメンタリー番組でよく見てます。


それぞれの番組でプロフェッショナルな人たちを見ていると、
自分は修行が足りないし、まだまだ未熟だなってつくづく思う。

もっともとっと知識と経験を増やし、飼い主さんと犬の幸せのために
プロフェッショナル目指してがんばらなければパンチ



ニックネーム のらのら at 15:38| トリマーの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする