2006年06月23日

ペットブームの陰で…

NHK「クローズアップ現代」を観ましたか?

無理な交配によって重い障害を持って生まれた犬たち…
その障害犬を作出している繁殖業者…
障害犬を受け入れ世話をしている人…

ペットブームの陰で問題になっている悲惨な状況がしっかりと
映し出されていました。

ペットショップのゲージに入れられ販売されている子犬を見に
来ている人たちのインタビューでは…

「みんながあまり飼わない犬のほうが好き」
「すごく珍しい色で可愛かったから飼った」


ペットブームの陰で悲惨な状況を生み出している原因は
一般の飼い主である。
珍しい毛色だから、変わっている模様だからとまるで服や
アクセサリーを買うように見た目だけで犬を選び飼う人たち…。

観ていて、インタビューを聞いてウンザリした。。。

金儲けの悪徳ブリーダーだけが悪いのだろうか?
珍しい毛色や模様を欲しがり、高額でも買ってしまう人たちがいるから
繁殖業者が高値で売れる珍しい毛色の犬を繁殖する。
悪質な繁殖業者を許せないと怒ってても、珍しい毛色に飛びつく…。

悪循環が続く…いつまでたっても何も解決しない。


番組の中で問題になっていたのは、ダックスフントの「ダップル」という
白い毛色が混ざった珍しい毛色。
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体により多く白い毛色が出るようにと近親交配を繰り返して生まれてきた
ダックスは耳が聞こえず、視力はわずかしかないと言う重い障害を持っていた。

この「ダップル」カラーは「マール遺伝子」という体の一部に白い模様を
作る遺伝子を持っている。
「マール遺伝子」は毛色の情報だけではなく、病気の情報や胎児のときの
神経形成などに深く関連して優先的に子供に伝えるという遺伝子だ。
このマール遺伝子はダックスだけではなく、シェルティー、コリー、ボーダーコリー、
オーストラリアン・シェパード
などの犬種にも現れる。
「ブルーマール」と呼ばれている毛色ががそうである。
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ダップルブルーマールの毛色の犬がすべて障害を持っていると言うのでは
ないけど、マール遺伝子を持っている毛色同士の交配は遺伝性疾患の確立が
高くなり危険なので絶対に避けるべきです。


毛色と言えば、ブームになっているトイ・プードル…
マーシャが我が家に来た14年前は、人気がなく全く見向きもされなかった犬種。
「ツンとすまして鼻にかけている感じがするから嫌い」
…などと、プードル独自のカットが嫌われていた原因だった。
それが今では、登録数第3位と言う人気犬種となった。
その人気となった原因は、「テディベアカット」と呼ばれるクマのぬいぐるみ
似たカットである。
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このプードルもやはり、見た目の可愛らしさだけで人気犬種となった。
数年前までは、人気がなくほとんど見かけなかったブラウン、アプリコット、
レッド
の毛色が大人気だ。
クマのぬいぐるみと同じ色が人気ということなのだ。
ぬいぐるみを買う感覚でプードルを選ぶ…。
やはり、ここでも見た目だけ…もし、テディベアカットがこの世に存在しなかったら
あの独自のカットしかなかったら、プードルはここまで人気犬種にはならなかった
でしょうね…

ブームとなったトイ・プードルにも当然遺伝性疾患の問題が起きている。

先日、マーシャの主治医が気になることを言っていた。
「最近プードルの患者が増えてきて、ほとんどが股関節形成不全なんだよね。あまりにもこの疾患が多いから、症例を集めて学会に発表しようかと思っているよ」

えっ?股関節形成不全といえば、大型犬に多い疾患なのでは?
それが、トイ・プードルに多くみられるの?

そういわれてみれば、最近のトイ・プードルって手足が長く体高が高くて、
サイズも大きいタイプが多いような…
これって股関節形成不全の発症と関係があるのでは…?

今まで人気がなかった犬種や毛色が突然ブームになり、需要と供給の
バランスが崩れ乱繁殖が起こる…そして遺伝性疾患が増えることになる。

でもこれは今始まったことではない。
以前も起きていた問題…それを繰り返している。


ある動物漫画がきっかけで爆発的な人気となったシベリアンハスキー
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ハスキーブームとなり、みんなハスキーに飛びついた。
このハスキーブームで人気になったのは、漫画に登場するハスキーと
同じ青い目、ブルーアイを持つハスキーだった。
そう、ここでもやはり見た目で選ぶ人たちが多くいた。
しかし、両目がブルーアイ同士の交配が遺伝性疾患の危険性を生む。
シベリアンハスキーは遺伝的に認められる疾患が多い犬種と言われている。
ここでもブームの犠牲になったハスキーが続出した。


パソコンが普及している今は、インターネットでペットが買える。
恐ろしい本を見つけた…。


インターネット時代の新しい動物との出会い、それがペットのネットオークション。
入札参加から落札、出品まで、安全・安心なペットオークション利用法。
目次
第1章 ネットで見つけた動物たち!
第2章 ペットのネットオークション人気の秘密
第3章 ペットオークションに参加しよう!
第4章 目利きの基礎知識
第5章 オークションに動物を出品してみる!
第6章 ネットオークショントラブル対処法
第7章 ネットオークションで広がるペットライフ


小さな「命」をネットオークションで売る…そして買う…
こうなるとペットは物扱い…なんという恐ろしいことなのだろう!

立ち読みでチラッと中を見てみた…
ネットオークションで犬を買ったという人の体験談が載っていた。
「オークションが縁で新しい家族が増えました。安い・近い・可愛いの
3拍子でよい買い物ができました。」

被毛がフサフサと長い柴犬に見えない柴犬をオークションで買ったという…

わからない…ここまでくると理解不能である。


買う人がいるから売る人はもっと供給しようと高額で売れるものを作り出す。
悪徳ブリーダーや悪質なペットショップだけが悪いのでしょうか?
厳しい罰則の法律ができたらこのような問題は起こらないのでしょうか?

絶滅の危機に瀕している野生動物がたくさんいます。
それらの動物はワシントン条約により、採取・捕獲を抑制して保護されている。
しかし、裏では絶滅の危機の野生動物が密輸で取引されている。
アフリカゾウも絶滅の危機といわれている野生動物。
アフリカゾウの象牙が高値で取引されているので、密猟が後を絶たない。
その象牙を高額で買っている国が中国や日本である。
日本では象牙の印鑑が人気が高く高額で売れる。

買う人がいる限り、たとえ厳しい法律があって禁止されていても売る人は
いなくならない。

私たちはペットブームの陰で起きている問題をもっともっと知らなければ
いけない。
その危険性や恐ろしさについて真剣に考えていかなければならない。

「避妊」や「去勢」がかわいそうだという人たちは、遺伝性疾患の恐ろしさを
知っているのだろうか?
重い障害を持って生まれてきた犬の生涯はどうなるのだろうか?
どちらが本当にかわいそうなのか考えて欲しい。

犬を飼う前に考えて欲しい…。
犬と暮らしている今も考えて欲しい…。

これ以上重い障害で苦しんでいる犬を見たくない。
これ以上重い障害で苦しんでいる犬が増えて欲しくない。

犬を愛する人たちそれぞれが意識しなければいけない。
私たちプロは伝えていかなければいけない。










ニックネーム のらのら at 01:21| ペット事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする